
薬機法改正案が閣議決定されたってニュースを見たけど、コンビニで医薬品が買えるようになるって本当?
登録販売者の存在って意味なくなるのかな?
この改正が登録販売者にどんな影響を与えるのか知りたい。
こんな悩みを持つ方に向けて解説していきます。
- コンビニで市販薬の購入が可能に?薬機法改正案の閣議決定について
- 今回の薬機法改正案が登録販売者に与える影響
- 今後の登録販売者の働き方について
- 薬機法改正案に関するよくある質問
2025年2月12日、政府が医薬品医療機器等法(薬機法)の改正案が閣議決定されました。
X(旧Twitter)でも「登録販売者どうなっちゃうの…?」といったツイートがたくさん流れていて、不安に感じる方もいると思います。
医薬品のコンビニ販売、ODが増えるだけな気がするけどどうなんでしょう
— はる (@kkrrssuuii) February 15, 2025
「OTC医薬品を薬剤師なしでコンビニ販売するで」
— Fizz-DI@比較と使い分け-KOJIMA Yushi (@Fizz_DI) February 14, 2025
「OTC医薬品なんか使ってたら重篤化するから受診させるやで」
…この2つが同時に流れてくるので、とりあえず話がメチャクチャなのだけは理解した(´・ω・`)



私もドラッグストアで働いているので、今回の改正案の内容が気になっていました。
この記事では、薬機法改正案のなかでも”コンビニで市販薬が購入可能になる”という点について解説していきます。
登録販売者として働いている方も、今後登録販売者として働きたいと考えている方もぜひ最後までご覧ください。
2025年2月12日の薬機法改正案の閣議決定について【コンビニでの市販薬購入】
コンビニでの市販薬購入についての改正案を簡単に説明すると、次のとおりです。
”一定の条件を満たせば”薬剤師や登録販売者がいないコンビニなどの店舗で市販薬(一般用医薬品)を買えるようにする。



”市販薬の購入が可能になる”というところだけが独り歩きをしていますが、コンビニで購入できるのは薬剤師などによるオンラインでの服薬指導や説明を受けた場合のみです。
ドラッグストアのようにコンビニに医薬品が並ぶわけではありません。(
登録販売者の在籍しているコンビニでは一部取り扱いのある店舗もあるようです)そして対応可能なのは現在のところ”薬局が委託したコンビニのみ”で、すべてのコンビニではないという点も注意が必要です。 参照元:日本経済新聞/産経新聞
これまでコンビニでの医薬品販売が広まっていない理由
実は2009年の薬機法改正により、条件を満たせばコンビニでも第二類医薬品と第三類医薬品を販売できるようになっています。
それでもコンビニでの医薬品販売が広まらないのは、登録販売者不足と2分の1ルールが原因だと考えられます。(2分の1ルールは2021年に廃止済)
ドラッグストア業界でも登録販売者不足が続いているなか、コンビニが人材を確保するのは難しいのかもしれません。



医薬品の接客をする機会はほとんどないでしょうし、24時間営業で大変そうだし、わざわざ登録販売者としてコンビニで働きたいという人は少ないのでは…。
薬機法改正案が登録販売者に与える影響
結論から言うと、今回の薬機法改正案では登録販売者に直接的な影響はほとんどないと考えられます。
理由は次の2つです。
- 委託先が”薬局”に限定されているから
- 医薬品がオンラインで購入できている現在でも、登録販売者の需要は高まっているから
委託先が”薬局”に限定されているから
今回の薬機法改正案では、コンビニの委託先が同一都道府県の薬局に限定されています。
そのため、スーパーやドラッグストアで働く登録販売者には直接的な影響はないと考えられます。



オンラインでの服薬指導や説明が導入されるようになれば、薬剤師の負担を減らすために薬局での登録販売者の需要が高まる可能性もあります。
医薬品がオンラインで購入できる今でも、登録販売者の需要はなくなっていないから
医薬品のオンライン販売は2014年から行われていますが、2025年現在でも登録販売者の需要はなくなっていません。



考えてみれば、2014年の”オンラインで医薬品が購入できるようになる”という改正のほうが影響が大きかったのでは…と思いませんか?
今まで対面でしか購入できなかった医薬品が、スマホやパソコンさえあればオンラインでいつでも買えるようになったんですよ?
それでも登録販売者の需要がなくなっていないのは、店頭で医薬品を購入したいというお客様が一定数いるということではないでしょうか。
このことからも、今回の法改正による登録販売者への影響は少ないと考えられます。
オンラインで服薬指導ができるようになった場合の問題点
今後オンラインでの服薬指導(説明)によって医薬品の購入ができるようになった場合、個人的に次の2つの問題が発生するのでは?と思っています。
- オンラインでの対応人数の上限を設けず、薬剤師の負担が増える
- オンライン服薬指導の実績数を重視して服薬指導が疎かになってしまう
薬剤師の負担が増える
たとえば都内の薬局Aがコンビニから委託を受けてオンラインで対応することになったとします。
”薬局とコンビニが同一都道府県であれば委託できる”ということは、極端な話、”同一都道府県に住んでいるお客様すべての対応が薬剤師1人でもできる”ということです。(現実には無理ですが💦)
コンビニで医薬品を購入したい人が増えれば増えるほど、委託された薬局の薬剤師の負担が増えることになりかねません。



特に対応できる薬局が少ない都道府県の場合、薬剤師1人あたりの負担は大きくなるのでは…?
服薬指導の実績数を重視して服薬指導(説明)が疎かになってしまう
これは私個人の考えなのですが、法律が改正されるということは、改正による実績も少なからず重要になってくると思いませんか?



たとえば上層部などから”実績数を増やせ”という指示が出たりしたら、服薬指導の内容よりも”販売(承認)数”が重要視されて服薬指導が疎かになってしまう可能性だってありますよね。
もしも「オンラインで薬剤師から話を聞いて適当に返事しておけば買える」という状況になって、オーバードーズが増えたらと考えると、恐ろしいです…。
濫用の恐れのある医薬品の販売は1個と決まってはいるみたいですが、抜け道がでてくる可能性もありますし、、、。
今後どのようなルールになっていくのかが気になるところです。
薬機法改正案に関するよくある質問
- コンビニの店頭に医薬品が並ぶようになったら登録販売者はいらなくなるのでは?
-
現在の薬機法では一般用医薬品の販売は薬剤師または登録販売者でなければならないと決まっています。
そのため仮にコンビニの店頭で医薬品が購入できるようになっても、資格を持っていない従業員が販売することはできません。
詳しくはこちらの記事でも解説しています。
- 今から登録販売者の資格を取ったら無駄になる?
-
今後も登録販売者の需要は高まっていくと考えられますので、今からでも遅くありません。
医薬品に関する知識も身につくので、家族の健康管理にも役立ちますよ。
今後も登録販売者の働き方に変化はなし
今回のまとめです。
- コンビニで市販薬が購入できるのはオンラインで薬剤師もしくは登録販売者から説明を受けた人のみ
- 店頭に医薬品が並ぶわけではない
- 薬機法改正案が登録販売者に与える影響はほとんどないと言える理由
- 委託先が薬局に限定されているから
- 医薬品がオンラインで購入できる今でも、登録販売者の需要はなくなっていないから
- オンラインで服薬指導ができるようになった場合の問題点
- 薬剤師の負担が増える
- 服薬指導の実績数を重視して服薬指導が疎かにになってしまう
今後どのようにルールが決まっていくのかは分かりませんが、いずれにしても登録販売者として医薬品の知識を深めていくことが大切です。
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